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JAICOWS 新会長就任のメッセージ

 

 

   

羽場 久美子

           (日本学術会議第19期研連委員・連携会員、20期・21期連携会員、

                         22期・23期第1部会員、青山学院大学教授、世界国際関係学会(ISA)副会長)

 

皆様

 日本学術会議で、女性一人の時期から活躍されてきた多くの先達たち、島田淳子先生、一番ケ瀬康子先生、安川悦子先生、原ひろ子先生、また役員を引き継いでこられた多くの先生方の素晴らしい献身的活動に、深い敬意を表します。そうした先輩たちの文字通り「女性科学研究者の環境改善」の努力を通して、私たちの現在があるという感謝と、その利他的な素晴らしいご尽力を引き継いでいくことの荷の重さに心を引き締めております。

 他方で、現在、ジェンダー研究は、グローバル化の社会においても、また日本の政策目標としても、最も重要な課題の一つとなっており、あらゆるジェンダー研究の第一人者の方々が、それぞれ第一線で活躍されておられるために、御忙しすぎてなかなか役員をお引き受けいただけず、私のような若輩者が、不十分ながら任を任されました事、恐縮に存じます。とともに、諸先生方の御教授とご協力を得ながら、学術会議における女性研究者が、会員で23.3%、連携会員で22.3%という時代に、量的に増大したのみならず、如何に質的にも高めていけるのか、どのような環境整備が求められているのかを、あらためて考え直す機会としたいと思います。

 

歴史

 「女性科学研究者の環境改善に関する懇談会JAICOWS」の発足については、JAICOWS設立の趣旨や原前会長のメッセージにも書かれておりますように、日本学術会議第15期に4名の女性会員の下、「女性科学研究者の環境改善の緊急性についての提言(声明)」が採択されたものの、16期には会員が島田淳子先生お一人になり、そうした中で、日本学術会議の「外側で活動するNGO」として、一番ケ瀬康子元会員を第1代会長(16期;1994-1997)として発足した、とあります。その後、第2代安川悦子会長(17期:1997-2000)、島田淳子会長(18期:2000-2003)、原ひろ子会長(19-22期;2003-2015)を中心として積極的な環境改善の活動がなされ、今年20151月より羽場久美子(23期:2015- )に引き継がれました。

 

課題

 この10年間で、女性研究者、あるいは女性を取り巻く社会環境は大きく変化しました。これまでの学術会議における女性比率160.5% から196.2%という状況の中、錚々たる方々の献身的な研究環境改善努力という状況とは大きく異なり、丁度私が入りました19期から20期に掛けて、女性比率は飛躍的に改善し、2042名:20.0%2143名:20.5%2249:23.3%と、大きな転換がありました。23期は49:23.3%で横ばいです。

 旧来の学会からの選出(私は当初国際政治学会から選出されました)に代わって個人選出となり、1)女性、2)地方、3)若手、という努力目標の下、これまでの大都市中心の60-70代の重鎮研究者による学術会議(そして陳情型の会議)から、女性、地方研究者、若手が大幅に拡充され、また小泉内閣の下で、総理府から内閣府に移行されて、政策立案型のより機動的な学術会議へと変化していきました。

 他方で、世界における女性の地位向上やジェンダー研究の進展に比べて、内実としての日本の女性の地位(特にエンパワーメント)はなかなか上がらない。201310月末のダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)に寄れば、「世界136カ国を対象に、男女平等の達成レベルを経済、政治、健康、教育の4分野から評価した「国際男女格差レポート2013」の発表で、日本は2012年から順位を4つ下げ、136カ国中105位」となりました(朝日新聞)。先進国のみならず中堅国途上国と比較しても低いとみなされる日本女性の地位の改善のために何をしていくべきかが問われている時期に来ていると言えます。(原因も様々です。働かずして自宅にいられる主婦願望が日本の上流・中産層の目標であるとか、子育て3歳神話、さらに政治など公の主導権は男性に任せようとする文化など、様々な日本独特の歴史や文化慣習も関係しているのかもしれません)

 現在、学術会議の女性会員数は23.3%49名)と横ばい、連携会員は22,3%420名)と微増ですが、今期の改選人数の女性比率が高かったため、次回2017年の改選時に今回とほぼ同様の比率で選出すれば、30%を超える可能性もあるとされ、2020年までに3割、という目標はほぼ達成できる可能性が高まっています。

 

21世紀の女性研究者と女性をめぐる社会状況

 他方で、女性会員、連携会員が増えたことが女性の研究状況に繋がっているかと言えば、各大学や研究所などそれぞれの職場において重要な役職についている女性幹部は必ずしも多くありません。また日本の女性の地位がなかなか上がらないことに象徴されるように、国会議員や地方議員など政策決定に関わる部門にも女性は必ずしも多くありません。さらに、アカハラ、パワハラ、セクハラと言われるような様々なハラスメントが、女性に限らず、研究教育機関でも横行している現状があります。

 今後は、「男女共同参画」と言う状況の下で、社会のリーダーとなっていく女性たちの地位を保証していくとともに、移民の半分が女性でトラフィッキング(人身売買)など非合法な活動にも引き込まれていること、ワーキング・プアの多くが、若者のみならずシングルマザーに象徴される女性たち、子供の貧困の進行と呼ばれるような、社会の底辺で苦しんでいる女性や子供たちにも光を当て、注意を向けていく必要があると思われます。

 課題はますます拡大していますが、23期は、会員23.3%、連携会員22.3%49+420名の女性たち、および学術会議全体の構成員とも連携しつつ、男女ともに住みよい社会、研究を発展させていける環境を整備すべく、微力ながら努力を重ねたいと思います。

 

23期の努力目標・達成目標

 私自身は、24期には、会長を次の方に引き継ぎ、さらに活性化を図りたいと思っておりますので、その時までの努力目標・達成目標を、次の3点としたいと思います。

1)  JAICOWS会員を現在の90名から、100名以上、可能なら150名を目標とし、できるだけ、現会員・連携会員から積極的に会員になっていただく。その多くの方々が、積極的に関わっていけるような、夢と目標のある活動を目指す。

2)  学術会議の会員、連携会員にアンケートをとり、職場、研究教育活動、生活における困難な事項を出していただく。それらの集計を取り、新しい時代における環境改善のあり方を目指す。

3)  できるだけ、分野ごとに複数名の会員参加を目指し、年2回ほどの研究会を重ねることにより、現在の研究課題と今後の方向性を確認する。現在、分野別委員会ごとに数名-10数名の研究者がいる状況の下では、研究条件改善および研究分野の発展に際しての獲得目標も異なってきていると思われますので、場合によっては、役員の中に、人文社会・自然科学の分野わけに加えて、分野別委員会ごとに一人ずつ程度の会員・連携会員が入ってくることにより、現状の改革目標が把握しやすくなるのではないかと思います。

 

これらの活動の中で、次期会長になって下さる方を養成し、24期には滞りなく委譲することを目標とします。

 

会長に就任させていただいての、現状認識と努力目標ですが、以上のような努力・達成目標を掲げて、ぜひ、皆様とともに、皆様の研究教育生活条件改善のために、活動していきたいと存じます。

 

皆様、

皆様の課題と目標を持ち寄って、ぜひ、日本学術会議、各職場、そして日本の女性環境を改善していくことにお力をお貸しいただきたく、御教授・ご協力・御教導の程、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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